(今回の「団員のひとりごと」はOBバンド指揮者 大迫 智の寄稿をお届けします)
最近の日本の吹奏楽界は、少子化や教員の働き方改革による部活動の減少・廃止という大きな課題に直面しつつも、地域クラブ活動への移行や新たな音楽体験の提供といった変化の時期を迎えています。
主な動向と課題は以下の通りです。
加盟団体数の減少: 全日本吹奏楽連盟の調査によると、加盟団体数は2020年以降4年連続で年間100団体以上減少しており、特に小中学校でその傾向が顕著です。これは少子化に加え、顧問を務める教員の負担増が背景にあります。
部活動の地域移行: 国が主導する形で、学校の部活動を休日の民間クラブ活動へ移行させる「部活動の地域展開」が進められています。
しかし、指導者の確保、活動場所、楽器などの備品、会費負担の増加といった多くの課題が浮上しており、スムーズな移行には官民連携の制度設計と財政支援が不可欠とされています。
コンクールのあり方: 長年続くコンクール中心の活動体系やその評価基準について、時代の変化に合わせた見直しを求める声や、コンクール以外の多様な活動の場を求める意見も出ています。
実際のコンクールでは、「中学校の部」から「中学生の部」と部門名が変更されました。これは、「部活動の地域展開」が進み、活動しているのは皆中学生だが、学校単位で考えると2校以上の中学生が混在するという状態に整合させるためです。
昨年度のコンクールであれば、「加古川市立中部中学校・浜の宮中学校(兵庫県) 吹奏楽部」や「桑の華ウィンドアンサンブル」(山口県防府市内の市立桑山中学校と市立華陽中学校、そして市立華西中学校の3校の生徒から誕生した吹奏楽団)が誕生し、両団体とも全国大会出場を果たし、いずれも「金賞」を受賞し、部活動の地域移行の成功例となっています。
多様な音楽体験: 伝統的なクラシックや吹奏楽オリジナル曲に加え、アニメソングやJ-POPなどの人気楽曲を吹奏楽で演奏する機会が増えており、様々なジャンルの音楽が楽しまれています。
2024年度コンクール結果: 2024年度の全日本吹奏楽コンクールも盛況のうちに開催され、全国各地で熱演が繰り広げられました。各部門の結果は、全日本吹奏楽連盟の公式ウェブサイトや朝日新聞デジタルの特設ページ(2024年度吹奏楽コンクール 大会日程と結果)で確認できます。
このように、日本の吹奏楽界は現在、制度的な変革期にあり、関係者が一丸となって持続可能な未来を模索している状況と言えます。
OBバンド 指揮者 大迫 智
